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個人事業主と法人のどちらがお得なのか。メリット・デメリットをお伝えします!

税金

個人事業主がお得なのか、法人の方がお得なのか。

お客様から頻繁に質問されます

ここでは、個人事業主、法人のメリット・デメリットについて説明します。

目次をご覧いただけると、記載のあらましを把握できるかと存じます

個人開業なのか、法人設立なのか、法人成りするのか、参考にして頂けますと幸いです。

話を広げ過ぎないため、実質的に個人事業主(法人の場合、一人会社)の場合を前提とします。

また、個人事業主+法人、個人事業主+会社員など、複数の組合せは想定しません。

ただし、例外的に前提を外れた説明をしている場面があること、ご承知おきください。

結論。所得が小さい間は個人事業主でOK!

最初に結論です。

事業開始当初は所得が少ないケースが多いでしょう。

その場合、通常は個人事業主の方が法人より良いでしょう

理由は以下です。

  1. 個人の税率<法人の税率
  2. 個人の税理士報酬<法人の税理士報酬
  3. 個人の均等割<法人の均等割
  4. 青色申告特別控除(個人)と給与所得控除(法人)の差が小さい

所得が大きくなると、項番1、4(特に4)における法人メリットが効いてきます

また、法人で社宅を使える場合、そのメリットも大きいです。

更には、その社宅経費の分だけ役員報酬を減らせば、社会保険料も小さくなります。

具体的なシミュレーションは割愛しますが、所得の大小が一つの基準となることを押えましょう。

【参考】会社員のメリット

参考として、会社員のメリットも簡単に記します。

給与所得控除

会社員の場合、みなし経費である給与所得控除が認められます。

所得の計算上、収入から経費を控除しますが、通常、経費は業務に係る支出です。

会社員の場合、経費を厳密に計算することは難しいので、一定の算式により給与所得控除額を計算します。

会社員の場合、経費が多額になる人は少数ではないでしょうか?

例えばSE職の場合、経費は殆ど発生しません。

しかし、給与所得控除のお陰で所得が実際より小さくなります。結果、所得税額が小さくなります。

消費税納税なし

会社員は事業者でないため、消費税の納税が発生しません

対して、個人事業主・法人は事業者であり、また収益の多くは課税取引であるため、一般に消費税の納税が発生します。

なお、会社員は個人事業税も発生しません。

個人事業主・法人の場合でも、一般に2年前の売上が1,000万円以下であれば消費税の免税事業者となれるため、納税は発生しません。

ただし、インボイス導入により課税事業者を選択せざるを得ないケース、つまり納税するケースが増えるでしょう。

健康保険料

個人事業主は国民健康保険の被保険者であるのに対し、会社員は健康保険の被保険者です。

健康保険料は国民健康保険料と比べると低めです。更に会社が半分を負担してくれます。

2023.11.17 修正

富士通を退職したときに明らかな差があったので、その経験で「健康保険料は低め」と書いてしまいました。

実際には、富士通は健保組合であったこと・国民健康保険は品川区で計算したこと、での一例でしかなく、一概には言えないことがわかりました。

お詫びして訂正いたします。

健康保険料は加入されている健康組合・協会けんぽで違いがあります。また、国民健康保険料も自治体で意外と差があります(確認時点では、協会けんぽ≒品川区=大田区でした)。

違いがあるとは言え、会社員の場合は半分を会社が負担してくれるので、一般に個人事業主より有利です。

また、被扶養者がいる場合、被扶養者の分の追加負担が健康保険では必要ないこともメリットです。

厚生年金保険料

厚生年金保険料も健康保険と同様に会社が半分を負担してくれます。

そのため、所得が低めの場合は国民年金保険料と比較すると低めです。

所得が高いと厚生年金保険料の方が高くなりますが、将来の年金も増えるため、どちらが得と判断するかは人の価値観次第となります(老齢年金以外にも障害、遺族などの保険サービスも含まれますし)。

また、扶養している配偶者がいる場合、その配偶者の分の追加負担は発生しない(将来、改悪される可能性は高そうですが)ことはメリットですね。

個人事業主のメリット

ここでは、個人事業主のメリット・特徴について記します。

なお、一般的な法人との比較であるため、事業所得・不動産所得(事業的規模)のある個人事業主を想定しています。

また、青色申告であることを前提とします(青色申告でないと、メリットが少ない)。

青色申告特別控除

会社員の給与所得控除と同様に、みなし経費が認められます。

事業所得・不動産所得(事業的規模)の場合、55万円または65万円の控除です。

今は電子申告しやすい環境です。電子申告すれば65万円の控除が認められます。

実際の支出とは別に、追加で65万円の経費が認められ、税額が(国民健康保険料も)小さくなることはメリットです。

青色事業専従者給与

一般に同一生計親族に対する給与は経費として認められません。

ただし、届出を事前に提出することで、家族に対する給与が経費として認められます

とは言え、「専従」していることも要件です。そのため、例えば既にパートで働いている配偶者に対する給与は認められません。

純損失の繰越控除

開業の当初は赤字になる人は多いでしょう。

所得税額の計算は暦年(1年)単位です。

例えば、初年度は大きく赤字(300万円)・2年目は黒字(100万円)の場合、トータルでは赤字(200万円)ですが、2年目は黒字100万円に対する納税が発生します。

ただし、青色申告の場合、過年度の赤字(最大3年間)と相殺できるので、この例の場合、2年目の納税は発生しません。

税理士報酬

法人と比較して、個人の方が一般に税理士報酬は低めです。

個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税にもとづいて処理しますが、所得の分類など所得税の方が難しい場面も多数あります。それにも関わらず個人の税理士報酬は低め。

法人の方が高い最大の理由は、税務署に提出する書類のボリューム量が違う(法人の方が多い)ことでしょう。

確定申告のしやすさ

個人の方が、確定申告の書類量が少ないことに加えて、国税庁のバックアップも手厚いです。

国税庁のサイトをご覧いただけると、個人事業主の確定申告向けの情報は豊富です。

また、国税庁の確定申告書等作成コーナーでは確定申告しやすい環境が用意されています。

住民税(均等割)

住民税(均等割)は黒字・赤字に関わらず、一般に納税が発生します。

法人は7万円以上であるのに対して、個人は5千円程度と低く抑えられています。

iDeCo掛金上限

個人事業主は厚生年金保険に加入していない分、iDeCoの掛金の上限は会社員よりも多く設定されています。

掛金は所得控除として税額を減らす効果があります(受取の際は退職所得の税制優遇を受けることも可能)。

資金拘束性(簡単に引き出せない)のデメリットはありますが、安定的に相当の所得がある人にはオススメできます。

会社員と異なり、小規模企業共済に加入することができます(法人役員も同じ)。

効果はiDeCoと近しいイメージです(もちろん、資金拘束の程度や運用など相違はあります)。

また、経営セーフティ共済(倒産防止共済)に加入することもできます(要件あり)。

iDeCoのような運用メリットはありませんが、資金拘束性が緩い点はメリットです。

法人のメリット・デメリット

ここでは、法人(主に一人会社)のメリット・デメリットについて記します。

会社員・個人事業主のメリットの反対が法人のデメリットとなることが多いため、デメリットは補足分のみをお伝えします。

メリット

社会的信用

法人の方が何となく信用できそうな気がします。

実際に、法人であることを取引要件としている会社も多いでしょう(業界によりますが)。

税理士事務所より税理士法人の方がイメージいいでしょう。

同じ法人でも、株式会社の方が合同会社より・代表取締役の方が代表社員より響きがいいですよね。一般には。

給与所得控除

会社員のメリットとして前述しました

役員報酬も所得税法の給与所得に該当するため、同様に給与所得控除が認められます。

個人事業主も青色申告特別控除という「みなし経費」が認められていますが、65万円に過ぎません。

それに対して、一般に給与所得控除の方が大きい「みなし経費」となりますので、お得です。

家族への給与

個人事業主の場合、青色事業専従者給与の届出を提出すれば、同一生計親族に対する給与が経費として認められます。

法人の場合、届出を事前提出しなくても問題ありません。

また、個人の場合は「専従」が要件であるのに対して、法人には専従の要件はありません

つまり、他でパート勤務していても、損金(経費)として認められます。

更には、家族に対する給与が小さい場合、個人では配偶者控除・扶養控除が認められないのに対して、法人はOKです。

退職金

個人事業主の場合、家族も含めて退職金に対する税制の優遇はありません。

対して、法人の退職金支出は法人の経費として認められ、退職金を受け取る役員個人は退職所得のメリット(税額が低く抑えられます)を享受できます。

民間保険の解約返戻金と組み合わせることで、多額の退職金を受け取る(税金は控えめ)ことも可能となります。

欠損金の繰越控除

個人の場合、3年間の繰越控除が認められます。

対して、法人は10年間

3年間の場合、赤字を使い切れないケースも散見されますが、黒字化する事業であれば法人は昔の赤字を無駄にすることはありません。

社宅家賃

自宅兼事務所を想定します。

個人の場合、経費として認められるのは仕事場の領域だけ。一般に3割もないでしょう。

対して、法人で社宅契約した場合、小規模の社宅であれば1~2割程度の賃料を役員が負担すれば、残額(8~9割)が経費として認められます。

小規模でない場合でも一般には5割が認められるため、個人よりメリットが大きいと言えます。

損益通算

個人の場合、損益通算できる所得の種類が限定されます。

例えば、雑所得(規模が小さい事業のイメージ)は損益通算が認められません。

つまり、雑所得が100万円の赤字・事業所得が100万円の黒字の場合でも、損益通算(トータル計算)できないため、事業所得100万円に対する税金が発生します。

対して、法人の場合、規模が小さくても、何でもトータル計算できます。一部事業の赤字が無駄になりません

消費税免税の繰越

法人成り(個人事業主から法人組織に変更する)を前提とします。

一般に、個人事業主として売上1,000万円を超えると翌々年から消費税の納税が発生します。

翌々年に法人成りすれば、法人の最初2年度は改めて消費税の免税事業者となり、納税を免れます。

ただし、インボイス導入により当該メリットを享受できる業種は限定されてくるでしょう。

民間保険料

法人の場合、支払保険料が経費となります(即時に全額が損金になる要件は限定されます)。

対して、個人にも保険料控除がありますが、かなり金額は僅少ですので、一般に法人の方がメリットは大きいでしょう。

ただし、法人の場合でも解約返戻金を収受した際は益金(収益)となります。改めて節税対策が必要かもしれません。

また、受取人次第では役員報酬・給与となる(法人の経費になっても、個人に課税される)ことなどにも注意しましょう。

デメリット

社会保険料

ここでは、従業員を雇用している場合を想定します。

個人の場合、常時従業員が5人未満(業種次第では人数に制限なし)ならば、社会保険に加入する必要はありません。

つまり、従業員の社会保険料(健康保険、厚生年金保険)の半分を負担しなくて済みます。

一方、法人は社会保険の加入が義務です。

従業員の数とは無関係に、従業員分の保険料の半分を負担します。

負担額は支払う給与の15%程度に上ります。

社会保険に加入しなくて済んでいた個人事業主にとっては最大のデメリットと言えるでしょう。

交際費

中小企業の場合、経費として認められる額は年額800万円までに制限されます。

個人は無制限ですので、比較上はデメリットです。

ただし、小規模の法人の場合、800万円を超える交際費を使うケースは少ないでしょうから、デメリットと言えないかもしれません。

法人と個人の税率についてコメントします。

所得が大きい場合、所得税は累進課税のため、法人の税率の方が小さくなります

このことは法人のメリットとして言われます。

でも、本当にそうでしょうか?

役員報酬を小さくして法人の利益を大きくすることで、目先の税金は少なくなるかもしれません。

しかし、法人に貯め込んだ利益を役員個人に還元するとき、多額の税金が発生しては意味がありません。

また、事業承継のときも問題が大きくなるかもしれません。

もちろん内部留保を貯め込むべき業種・状況もあるでしょう。

しかし、そうでない場合も多いでしょうから、ご留意してはいかがでしょう?

まとめ

頻繁に質問される、個人事業主と法人のメリット・デメリットについて、会社員との比較も絡めて記させて頂きました。

実際には、副業(会社員+個人事業主、会社員+法人)、複数事業(個人事業主+法人、法人+法人)等のケースもあります。

内容についてご相談したい場合には、お問い合わせフォームからお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

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