会社員の方にはお馴染みの年末調整。
会社員が所定の書類を提出すると、会社が代わりに税額を確定してくれます。
問題は会社に提出する書類。何となく(誤って)入力しているケースが散見されます。
入力ミスすることで、税金を損しているかもしれません。
ここでは、最低限の注意すべき事項をご説明します。
国税庁「年末調整がよくわかるページ」
国税庁「年末調整がよくわかるページ」をご存知でしょうか?
私も会社員(SE)時代は全く知りません(知ろうとしていません)でした。
ご案内したいのは「年末調整がよくわかるページ」内の「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」。
名前の通りですが、こちらでは①申告書、②記載例がアップされています。
是非ご参照ください!優れモノですよ!
申告書(記載要領)
それぞれの申告書では、記載要領(注意事項・単語の説明など)が案内されています。
真面目にココを最初に読むと気持ちが折れるでしょう。
ただし、申告書を入力する際に迷った場合は、記載要領が役に立つでしょう。
リファレンスとしてご使用ください!
記載例
いきなり申告書を入力しても良いのですが、少しでも「?」となったときは、ぜひ記載例をご参照ください。
記載例を見るだけで疑問が解決するケースは多いはず。
それでも不明なときは記載要領も確認してみましょう!
申告書の種類
会社に提出する(会社から案内される)申告書の種類は4つ(マル扶について今年度・翌年度を案内されれば5つ)。
- 扶養控除等申告書(マル扶)
- 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書(マル基配所)
- 保険料控除申告書(マル保)
- 住宅借入金等特別控除申告書
前者2つが提出(入力)必須なのに対して、後者2つは該当する人のみ提出します。
マル保は民間保険、社会保険(提出先会社が把握している分は除く)、iDeCo等の支払がある場合に提出します。
住宅借入金等特別控除申告書は住宅ローン控除の適用2年目以降に提出するイメージですね。
申告書の目的。申告すれば何ができる?
申告書を書く目的は、主に所得控除を決めること(他に、源泉税や所得金額調整控除や住宅ローン控除など)。
税金は、収入から経費を控除して、更に所得控除をマイナスすることで概ね金額が決まります。
更には、住宅ローン控除などの税額控除をマイナスします。
申告書を入力することで、大半の所得控除の金額が決まるのですが、「そもそも所得控除の内容を知りたい」人もいるでしょう。
そういう方は、以下の記事をご参照頂けますと幸いです。
所得とは
入力ミスの代表が「所得」です。簡単にご説明します。
所得は、収入から経費をマイナスしたもの。つまり、収入そのものではありません。
このとき、会社員(バイト、パート等も)の場合は、経費=給与所得控除額ですし、
老齢年金の受給者の場合は、経費=公的年金等控除額です(障害年金・遺族年金は非課税のため、所得ゼロです)。
給与所得控除はマル基配所の記載要領(あるいはネットで「国税庁 給与所得控除額 速算表」検索)を、
公的年金等控除額はネットで「国税庁 公的年金等控除額 速算表」検索して、
それぞれ所得を算出します。
収入そのもの(経費等の控除前)を入力すると、受けられるはずの控除を受けられないケースが生じるかもしれません。
手間ですが、注意して入力しましょう。
扶養控除等申告書(マル扶)
繰り返しになりますが、記載例(ときどき記載要領)を確認しましょう!
少しでも迷ったときは、記載例(説明も)を確認することで、ほとんどの場合は解決できるはず!
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書(マル基配所)
書面は1枚ですが、3つで構成されています。
基礎控除申告書
入力は必須です。
配偶者控除を受けたい(配偶者がいる かつ 配偶者の所得が低め)人の場合、
所得(収入ではない!)が明らかに900万円以下ならば、見積額の入力は本当にざっくりで問題ありません。
配偶者控除を受けない人の場合、
取得が明らかに2,400万円以下ならば、見積額の入力は本当にざっくりで構いません。
配偶者控除等申告書
配偶者がいない人は入力不要です。無視してください。
配偶者がいる人の場合でも、配偶者の所得が高め(配偶者(特別)控除を明らかに受けない)であれば、見積額はざっくりでOKです。
所得金額調整控除申告書
給与収入(所得ではない!)が850万円以下の場合は、入力不要です。
保険料控除申告書(マル保)
控除証明書がある場合は原則そのまま、ない場合は「(年中に)支払った(支払う予定)」の金額を入力します。
例えば、前納する場合、来年分の一部を支払っていれば、その金額を含めることに注意します。
生命保険料控除
一般/介護/個人それぞれについて、保険料10万円(旧区分の場合。新区分は8万円)以上であれば、控除額は同額です。
例えば、「新」区分の生命保険料(一般)に5つ加入している場合、
金額の大きいもの2つで8万円以上なら、その2つだけを入力すれば問題ありません。
地震保険料控除
「自宅」の地震保険料(あるいは昔の長期損害保険料)に限定されます。
別荘は対象外です。
社会保険料控除
提出する会社が天引きしている社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)を入力する必要はありません。
会社が把握していますから。
また、年中に転職した場合、前職の源泉徴収票を提出しているはず。
その場合も会社は前職の社会保険料を把握できるため、入力は不要です。
ミスが散見される事例を2つ紹介します。
転職・就職
転職した場合で、失業期間があるとき、国民健康保険料・国民年金保険料を支払っているでしょう。
特に、国民健康保険料は控除証明書が年内に届かないため、入力を漏らすケースが見受けられます。
また、就職した場合で、就職前の保険料を(親ではなく)自分で払っているとき、その保険料は入力します。
家族分
同一生計親族の分を負担している場合、その家族分の保険料も入力します。
例えば、子供(学生)の保険料を代わりに支払っている場合、入力を漏らさないよう注意しましょう。
小規模企業共済等掛金控除
「等」がポイントです。
iDeCoに加入している人は多いでしょう。
自分自身が支払った分を入力します。
また、企業型DCでマッチング拠出(一部を従業員も払う)の場合、自分が負担した分は入力します。
なお、会社が天引きしている場合、会社は支払額を把握できているため、入力の必要はありません。
住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除の2年目以降は年末調整を行います。1年間は確定申告ですね。
また、自宅(あるいは単身赴任等で家族が居住)であることが要件であることにも注意しましょう。
確定申告が必要なケース
年末調整できない(会社が税額確定してくれない)場合や、年末調整だけでは税額確定しない場合があります。
そのような場合は、別途、会社から受領する源泉徴収票を元に、別途、確定申告することが必要です。
確定申告が必要な2つの事例を紹介します。
副業
別の会社で副業している場合、そもそもマル扶を提出できる会社は1社だけ。
原則、副業先の給与と併せて確定申告する必要があります。
また、個人事業主として副業している場合も、原則、事業所得等と併せて確定申告が必要です。
ふるさと納税
医療費控除・雑損控除・寄附金控除は年末調整できません。
従って、確定申告しないと損します。
寄附金控除の代表格は「ふるさと納税」。
寄附した自治体が少なくてワンストップ特例制度を用いる場合の確定申告は不要ですが、
それ以外の場合は確定申告が必要です。
まとめ
年末調整の注意すべきポイントについて記させて頂きました。
入力をミスすることで、多くの税金を支払うのは勿体ない。
ご案内した国税庁の記載例を見るだけでも、多くのミスは軽減できるでしょう。
今回の記事が参考になれば幸いです。
内容についてご相談したい場合(会社代表または個人事業主に限ります)には、お問い合わせフォームからお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。